労働者は使用者の操り人形じゃない!よりよい労働環境を求める労働者

志学舎

1. はじめに

会社企業などに勤めておられる方は、今の労働環境に満足いっていますでしょうか。

最近では、労働者がストライキを起こす事例が増えています。

今回は、労働環境について一緒に考えていきましょう。

2. 労働者は使用者の操り人形ではない

最近、以下のような記事が見受けられるようになりました。

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教育を壊す「非正規先生」問題!京華商業高校でユニオン結成!

会社企業でのストライキを見かけることはありますが、私立学校でもストライキが起こされるようになりました。

私立中学高校の教員・教師・先生になるには??でお話ししたように、教員・教師の役職は、専任教諭(正社員)、常勤講師・非常勤講師(ともに原則1年契約)に分類されます。

ストライキは、会社企業の正社員、教育現場では専任教諭が起こすものと思われがちですが、契約社員ともいえる非常勤講師までストライキを起こしているところがあるのです。

ストライキを起こす理由はさまざまですが、基本的にストライキが起こされる要因は、労働環境の改善にあります。

とくに「業務命令」という名のもとで、長時間労働を強制するのはパワハラを通り越していることに気が付いていない使用者が非常に多いです。

まず「労働者は使用者の操り人形ではない」ことを念頭においておくことは、いうまでもありません。

3. 今勤めている会社企業・私立学校の労働環境はどうですか??

勤めておられる方は、今の会社企業・私立学校の労働環境に不満はありませんか??

給与・賞与、労働時間、休日など、労働環境にはさまざまな問題があります。

給与・賞与

労働者は、給与・賞与があるほど、労働意欲が高まるのは当然のことです。

しかし会社企業・私立学校の経営状況によっては、給与・賞与の向上は見込めないでしょう。

会社企業・私立学校は私企業ですので、売り上げなどの利潤があってこそ経営がうまくいきます。

会社企業ではあれば「収支報告書」、私立学校であれば「学校評価」といった書類をみれば、数年度に渡っての収支報告が確認できます。

会社企業・私立学校によっては、ホームページで公開しているところもあるのです。

給与・賞与で団体交渉するときは、収支報告を見る必要があるでしょう。

団体交渉を起こす労働者側も、経営がうまくいっていないのに団体交渉を行なっても効果がみられないことを理解しておく必要があります。

労働時間・休日

労働環境で問題になるのが、労働時間・休日の問題です。

労働基準法では、1日8時間、1週間40時間の労働時間が規定されています。

この基準を上回る場合は「割増賃金」を支払う必要があるのです。

つまり残業をするとなった場合は「残業代」を支払わなければいけません。

また休日に関しても、労働基準法で月4回以上の休日を与えることが定められています。

ただこれらの規定は原則であり、業種によっては規定通りにいかない場合があるのです。

そのときに「変形労働時間制」といって、労働時間を週単位ではなく、月単位・年単位で決める制度です。

繁忙期等により、勤務時間が増加しても時間外労働としての取扱いを不要とする労働時間制度で、私立学校ではこの制度を採用している学校もあります。

1日8時間、1週40時間の基礎として、例えば1ヶ月単位の変形労働時間制では、1ヶ月トータルで労働時間の調整ができていれば時間外労働にはならないのです。

また1日6時間以上の労働の際は45分以上、1日8時間労働の際は60分以上の休憩を与えることも規定されています。

ただ会社企業・私立学校によっては、労働時間や休日の管理ができていないところもあり、大きな社会問題となっています。

教育現場のクラブ活動指導

中学・高校のクラブ活動は課外活動の一環で、放課後に行なわれます。

例えば教員・教師の勤務時間が8:00~17:00(休憩1時間を含む)の場合、クラブ活動は17時まで。

その他、放課後の講習や補習も17時までに終えなければなりません。

しかし7時間目まで授業があった場合、終礼が終わって生徒を解散させるのが16時半前後。

そこから清掃活動等をしていると、17時はあっという間に超えてしまいます。

つまり放課後の活動は、残業代と同じく、自動的に基本給にプラスアルファされなければいけないのです。

ところが「月」あたりのクラブ手当は、私が勤めたところで知っている限り3,000~6,000円。

ひと月で20日クラブ指導しても、1日あたりの150~200円の手当です。

もし3時間クラブ指導した場合は、時給50~70円ほど。

最低賃金法を大きく下回っていることは間違いありませんし、教職員調整手当といって、基本給の4%程のお金が支給されますが、そのような手当でも全然まかいきれていないのです。

しかもスポーツ強豪校の顧問の先生は、365日のうちオフの日が数日しかない状態の学校もあります。

このような状態が「当たり前」になっているのですから恐ろしいものです。

このように教育現場では、労働時間に加えて、課外活動についての労働時間を早急に見直しすることが課題として挙げられます。

4. 教育現場の非常勤講師

正社員(専任教諭)、契約社員(常勤講師)は、先ほどご紹介したような労働問題に直面するでしょう。

契約社員の中でも非常勤講師は、「授業の持ち時間×コマ給」という形で給与計算します。

つまり授業をした対価として給与を得ているのです。

ただ授業以外に、定期試験の作成、採点、成績処理の業務がありますが、授業以外の業務であるのにもかかわらず、それらの業務の対価は支払われません。

私が勤めた非常勤講師の給与は、1コマ11,400~13,600円ですので、コマ数が多いほど月の収入は多くなります。

公立学校の非常勤講師は、夏休み・冬休み・春休みの長期休暇中は給与が発生しませんが、私立学校の先生は、長期休暇に関係なく、月々一定の給与の支払いがあるのがメリットです。

また2つの学校を兼務しても構いませんし、兼業ももちろん大丈夫。

非常勤講師のデメリットは、契約期間が1年であること、来年度の契約更新があるかは不透明なところ、人材が不要になれば真っ先に契約更新されないことが挙げられます。

次年度契約更新されたとしても、これまでと同じ時間数がもらえるかが分からないのもデメリットでしょう。

私の場合は、最大で1週当たり26時間担当したことがあり、一番少ないときで12時間のときもありました。

ときには、A学校で1限の授業をして、2限の間にB学校へ移動、B学校で3・4限授業したあと、昼休み中にA学校へ戻って5・6限授業をすることもありました。

これだけ動かないと専任教諭・常勤講師ほどの給与が得られないのです。

賞与についても、ある学校の専任教諭・常勤講師は年6.43ヶ月分+αなのに対して、非常勤講師が年1ヶ月、またある学校では専任教諭・常勤講師は年5.5ヶ月分なのに対して、非常勤講師が2ヶ月分というふうに、大きな差があるのが実情。

非常勤講師は所得が少ないうえに、次年度の身分も保証されていない。

また学校によっては、非常勤講師としては何度も契約更新してくれますが、いっこうに常勤講師・専任教諭へのチャンス・登用が少ないなど、非常勤講師の先生にとって安定した生活が送れない現状です。

最近では、2015年の労働者派遣法の改正を鑑みて、最大契約更新回数を2回まで更新するというように、契約更新回数を定めているところも増えています。

非常勤講師は低賃金で雇用できますが、使用者は雇用する先生の将来をしっかり考えて雇用してほしいものです。

5. まとめ

今回は、労働環境について考えていきました。

最近では正社員のみならず、契約社員でもストライキを起こす時代になりました。

使用者は、派遣労働者や契約社員を雇用する際に、低賃金で雇用できることを考えるのではなく、本当に力のある方であれば、正社員への道を広く切り開くべきです。

また会社企業・私立学校を経営する使用者は、労働に関する法律を遵守して組織を運営していく必要があります。

それが実現不可能だと思うなら、もう一度組織のあり方を見直す必要があるでしょう。

必ずどこかに「無駄」がありますし、やらなくていいものがあるはずです。

労働者は労働者で、1つでも労働に関する法律を知ることをおすすめします。

今回の記事で赤太字にした法律はとくに知っておいたほうがいいでしょう。

私は社会科の教員であるため、自ら法律について学ぶときもありますが、社会人になってからも大学の法学部で労働に関する法律を学びました。

労働に関する法律以外にも、さまざまな法律を学ぶことで、自分が不利益を被ったときに法で対処することができるのです。

やってはいけないことは、やってはいけません。

教育現場で、学校は生徒にそのように指導しているはずです。

自分で設立した会社企業・私立学校であっても、労働者を雇用している以上、使用者は労働環境を整備する責務があります。

使用者も労働者も、法律を遵守して、よりより労働環境を築いていく必要があるのです。

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