私立学校(中学校・高校)の社会科・地歴公民科の教員になるには??

志学舎

1. はじめに

新年度に入ると次年度の私立学校の教員募集が少しずつ増えていきます。

既卒者だけでなく新卒見込みの大学生・院生も、教員になるためには各私立学校が実施する採用試験を受験しなければなりません。

複数の教科がある中、私立学校社会科・地歴公民科の教員をめざす方もいいはず。

今回は、私立学校(中学校・高校)の社会科・地歴公民科の教員になるにはどうすればいいのかについてご紹介します。

2. 私立学校(中学校・高校)の社会科・地歴公民科の教員になるには

私立学校の教員になるための基本的な流れは私立中学高校の教員・教師・先生になるには??に掲載しておりますので、そちらをご参照ください。

ここでは社会科の教員に特化したお話しをしていきます。

社会科・地歴公民科の教員に求められる力

社会科・地歴公民科は、その名の通り「社会」を教える教科です。

中学校で学ぶ「社会科」は「地理」「歴史」「公民」の科目に分類されます。

また高校で学ぶ「地歴公民科」は「地理」「日本史」「世界史」「政治経済」「倫理」「現代社会」の科目があります。

一概に「社会」を教えるといっても、「社会」へのアプローチの仕方はさまざまで、学校ではこれらの科目を通じてアプローチしていくのです。

どの科目の教科書や学習指導要領をみても分かるように、社会科・地歴公民科の教員に求められる力の1つとして、現在・過去の情勢を理解する力、それを生徒に発信し、課題を発見させたり、考察させる力が求められます。

私立学校社会科・地歴公民科の採用試験(筆記試験)は??

私立学校の社会科・地歴公民科になるには採用試験を受験しなければなりません(私立学校によっては筆記試験を実施しておらず、面接と模擬授業のみというところもあります)。

社会科・地歴公民科の筆記試験のレベルは私立学校によりさまざまです。

私の経験では、中学校の教科書の太字を答える問題だけを出題している学校があれば、センター試験・国公立大学2次試験のように論述問題を複数出題している私立学校もありました。

中には、社会科・地歴公民科の内容ではなく、国語や算数の一般教養の試験のみの私立学校もあります。

ここで知っておいてほしいのは、募集している科目=受験科目ではないということ。

例えばある私立学校が「地理」の教員募集をしていたとします。

この場合の筆記試験は、「地理」のみとする学校もあれば、地理以外の科目についても受験科目に設定している学校があるということです。

私は専門科目が地理なのですが、学校によっては受験科目が「地理+歴史・公民から1つ選択」というところも多くありました。

つまり自分の専門科目の知識・教養を身につけておくことはもちろんのことですが、その他の科目の知識・教養を身につけておく必要があるのです。

社会科・地歴公民科の教員採用筆記試験を受ける場合は、自分の専門科目だけでなく、他の科目も含めてセンター試験・国公立大学2次試験レベルに対応できる力を準備しておきましょう。

なぜ専門科目だけの試験だけを実施しない私立学校があるのか?

前述をお読みいただくと「なぜ地理の教員募集なのに、他の科目まで試験が課せられるのか」と疑問に感じると思います。

私も専門科目が地理ですので、他の科目の試験が課せられた筆記試験には苦労しました。

ただ教員をしていて感じることは、社会科・地歴公民科の科目はそれぞれ結びつきがあるということです。

私は教員生活の中で、中学校の「地理」「歴史」「公民」、高校の「地理」「日本史」「世界史」「政治経済」「倫理」「現代社会」をすべて担当しました。

それまではこれらの科目のつながりが見えていませんでしたが、すべての科目を担当することで各科目の接点がみえてきたのです。

例えば第一次世界大戦の内容を学ぶときに、日本史では日本の国政の話しを中心にしますが、世界史で学ぶような同盟国・協商国との関係を知ることになりますし、国々の関係を知る際に地理で習う国の位置について知っておかなければ理解は深まりません。

このような背景を知っていれば、各私立学校で専門科目+他の科目の試験を実施することも理解できるのではないでしょうか。

社会科教員は、専門科目の一点から「社会」について生徒にアプローチさせるのではなく、さまざまな視点からアプローチさせるためにも、専門科目以外の理解を深めておく必要があるのです。

3. 社会科・地歴公民科だけの視点からの教育では不十分

前述では、自分の専門科目だけでなく、専門科目以外の理解を深めておく必要があるとお伝えしました。

ただこれからの学校教育では、自分が社会科・地歴公民科の教育だからといって、社会科・地歴公民科だけに執着するべきではありません。

社会科・地歴公民科は生徒に「社会」を教え・アプローチさせる科目です。

現代はグローバル社会ですので、社会科・地歴公民科の教員はグローバル社会について教材レベルの知識・教養では不十分でしょう。

社会科・地歴公民科教員自らが世界を訪れ、可能であれば自身の言語力を高めながら自分の足で世界を見る必要があります。

科目でいうと英語科との連携が必要といっていいでしょう。

それだけではありません。

地理では数学・理科の知識・教養が必要ですし、国語科のように文章を読み書きする力が必要不可欠であることは言うまでもないです。

学校現場は、国語・数学・理科・社会・英語というようにざっくりとした教科分けをしていますが、これからの教育はこれらの教科にとらわれず、教科の壁を超えて教育をしていくことで、より将来を生きる生徒のためになる授業展開が実現できるでしょう。

このように社会科・地歴公民科の教員になった折には、さまざまな視点をもった人物になることで、生徒のためになる授業を展開することができるのです。

決して教員・教師は視野が狭いに記載したような教員になってはいけません。

採用試験の模擬授業については私立中学高校の教員・教師・先生になるには??を参考にしてください。

4. まとめ

今回は、私立学校(中学校・高校)の社会科・地歴公民科の教員になるにはどうすればいいのかについてご紹介しました。

私立学校(中学校・高校)の社会科・地歴公民科の教員になるためには、書類選考、筆記試験、模擬授業、面接といった流れで進んでいくのが基本です。

筆記試験の概要については今回の記事をお読みいただければご理解いただけると思います。

私立学校の教員募集は複数のサイトで確認することができますので、日々チェックしてください。

次年度の教員採用募集が始まるのは、おおよそ5月から徐々に増え始めます。

年内に内定をもらえなかった方は焦りがあるかもしれませんが、年明けでも教員募集はゼロではありません。

年明けは非常勤講師での募集が多いのは確かですが、常勤講師の採用も毎年見受けられます。

とくに2月下旬から3月に教員採用をしている私立学校は、常勤講師の募集であっても筆記試験は行なわず、「面接だけ」「面接+模擬授業」というところが多いです。

今回の記事を参考に、私立学校(中学校・高校)の社会科・地歴公民科の教員をめざしてみてはいかがでしょうか。

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