小中高大の9月入学・始業は可能?メリット・デメリットとは??

お知らせ

1. はじめに

新型コロナウイルスにより、早いところでは2020年2月末から始まった休校措置。

4月末現在でも学校再開のメドはほぼ立っておらず、2020年4月7日に出された緊急事態宣言も5月6日までとされていますが、4月29日に安倍首相は延期を検討しているとの報道もあります。

このまま学校再開が遅れると子どもたちの今後に大きな影響を与えることから「小中高大の9月入学」が唱えられています。

今回は、小中高大の9月入学・始業のメリット・デメリットについて考えていきましょう。

2. 新型コロナウイルスによる休校措置!学校再開のメドは?

日本政府は、2020年4月7日に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を発出、その効力は5月6日までとされており、それに準じて学校をはじめとして会社企業も5月6日まで自粛体制をとっています。

しかし4月29日現在、国内での新型コロナウイルス感染者数は増加しており、安倍首相は5月7日以降も緊急事態宣言の効果を続ける必要があることを打ち出しました。

ということは、学校の休校期間も5月7日以降も継続されることになりますが、今の学校の現状はどうなっているのかみていきましょう。

学校再開の時期

2020年4月24~28日に讀賣新聞が全国121自治体に「学校再開の時期は決まっているか?」という調査をしました。

回答結果は、約3割にあたる38自治体が再開時期が決まっている、約7割の83自治体が決まっていないとのことでした。

GW明けに再開を決めているのが、岩手県、栃木県、島根県、盛岡市などの16自治体です。

休校で失われた授業時間をどう確保するのか、その結果は以下の通りです(複数回答)。

・夏休みを短縮(63自治体)

・修学旅行など学校行事の縮小(59自治体)

・土曜授業の実施と拡充(34自治体)

どれをとっても生徒、教員・教師・先生に負担がかかるものですし、抜けた授業を取り戻すための策にしかなっていないように思えます。

私は個人的に、学校は人間関係を構築したり社会人基礎力を育成する場所であると考えますので、単に不足した授業時間を物理的に圧縮して行なうような策には賛同できません。

夏休みを短縮する学校もあるようですが、地域によっては連日35度を超える猛暑日が続く地域で、生徒を登校させますか?生徒、教員・教師・先生が熱中症になったらどうするんですか?

全国小中学校などのエアコン設置状況が78%(2019年9月現在)という状況下で、夏休み中の授業進行は、今の新型コロナウイルスと同様に、生命の危機をもたらすものでしょう。

オンラインを利用して双方向の授業展開も始められていますが、それは私立学校が中心で、オンライン授業ができている公立学校は全国で約5%しかありません。

オンライン設備は金銭的に急速に進められるものではありません。

ただオンライン機器を操作するために、教員・教師・先生はその技術を、研修やオンラインを利用して急速に身につけなければなりません。

このように自治体によって学校再開のメドはさまざまです。

3. 学校の9月入学のメリット・デメリット

前述のように、新型コロナウイルスによる休校期間中の授業を指導するにあたって、物理的に生徒、教員・教師・先生に授業時数をこなさせるのは間違っています。

そこで今、考えられているのが学校の9月入学です。

9月入学についてはイメージがわかない方、デメリットに注目している方が多いですが、ここでは学校の9月入学についてご紹介します。

今に始まったわけではない学校の9月入学の提唱

今、9月入学について唱えられていますが、学校の9月入学は明治時代から唱えられていたことが、夏目漱石の『三四郎』から窺えます→「三四郎は逡巡するのだ。そう、季節は夏。明治期の大学は西洋にならい、9月が学年の始まりだった。」

今の日本の始業時期は旧日本軍の徴兵制に関わりがあり、徴兵対象者の届出の時期が9月から4月に変わり、徴兵猶予の資格を学生が得やすいようにと4月入学が広がったのですが、このしくみはショックが起こると変わるとされています(2020.4.29朝日新聞「天声人語」より)。

9月入学は西洋で採られている制度で、現在も欧米でも9月入学は続けられている制度です。

学校の9月入学のメリット・デメリット

日本では4月入学が固定概念とされすぎているため、9月入学についてはイメージがわかなかったり、デメリットが注目されています。

では具体的に9月入学のメリット・デメリットについてみていきましょう。

メリット デメリット
休校措置が長期化した場合に生じる教育格差を是正できる 就職時期や国家試験の日程などの見直しが必要になる
秋入学が主流の海外と合わせることで留学がしやすく、優秀な留学生も受け入れやすくなる 4月から始まる国や地方自治体の会計年度とズレが生じる
小中高は学校教育法施行規則の改正におり移行でき、法改正の手続きは難しくない 大学の「9月入学」以外は近年議論されていないため国民的な理解が得られるかが不透明

あくまでも一部のメリット・デメリットとしてご覧ください。

ここに挙げられているデメリットに注目すると、日程の見直しや会計の話しは、これらを変更するとなると、芋づる式に他のものも見直し・変更しなければなりません。

しかし言いかえると見直しすれば変更が可能なのです。

日本人は他国人と比べると、固定された制度やルールを変えたがらない。

例えば、1947年に施行された日本国憲法は、2020年現在に至る73年間、一字一句変えられていません(→これを「硬性憲法」といいます)。

それに対して外国では、軟性憲法といって、憲法の内容を簡単に変えることができる性質をもっているところもあります。

違和感をもってほしいのが、73年前の1947年に施行された古い憲法がいまだに使われているということ。

2020年現在と73年前が同じ社会情勢であるわけがないのに、その憲法をその時代に応じて変えられないのが不思議で仕方ありません。

9月入学は、4月から学校再開の見通しが立たない生徒にのみ必要なのではなく、メリットに挙げたように、国際社会に適応していくためにも必要な制度であるといえるでしょう。

9月入学についてはさまざまな議論があるように、実際に導入すると混乱はあると思いますが、このタイミングでの導入は必要であると思います。

学校の9月入学による子どもの生活の変化

ここでは9月入学にが導入された場合に、子どもたちの生活はどのように変化するのかみていきます。

受験日の変化

9月入学になると、以下のように入試制度は変化します(あくまでもサンプルです)。

3月末~ 春休み
5月初旬 私立小学校入試
6月中旬 大学入試共通テスト
7月下旬(夏休み) 私立中学・高校入試
8月上旬(夏休み) 国公立大・私立大一般入試、公立高校入試

これまで日本の入試は冬に行なわれおり、雪などの影響を受けるほか、インフルエンザや風邪などの病気が発生しやすい時期に実施されています。

試験会場は密閉・密室が避けられませんが、冬のインフルエンザ、新型コロナウイルスの蔓延時期のことを考えると、冬の入試にはリスクがあるのです。

2020年度の受験生については、授業時間が減少していることは事実ですから、まず指導要領のうち、文部科学省が入試の出題範囲を限定し、それに準じて学校で学習指導をする形態をとってもいいのではないでしょうか?(←あくまでも応急措置です)

就職時期の変化

9月入学になると、以下のように就職時期は変化します(あくまでもサンプルです)。

8月~10月 企業エントリー開始、企業説明会、エントリーシート
11月~2月 筆記試験・面接、内々定
3月 内定?
9月 入社?

これに向けて大学や高校も対策を採る必要があるでしょう。

クラブ活動のインターハイなどの日程の変化

これまでクラブ活動で、インターハイなどの公式戦の日程も毎年同じような時期で行なわれていましたが、それに関しても変化させる必要が出てきます。

例えば高校野球については、以下のような日程の変化が考えられています。

10月 秋の甲子園?
4月 都道府県での大会?
5月 初夏の甲子園?(選手権大会)
8~9月 都道府県での大会?

高校野球の夏の全国大会は甲子園球場が使われていましたが、上記のようなスケジュールになることが考えられます。

夏の甲子園は35度を超える猛暑日の試合となるほか、炎天下での連投問題が挙げられていましたのでそれは解決できると思います。

ただプロ野球のペナントレースは3月末から行なわれますので、高校生が甲子園球場を使うことができるのか、他球場で全国大会を行なうことになるのかというデメリットもあり、考えなければいけないことはたくさんあります。

4. まとめ

今回は、小中高大の9月入学・始業のメリット・デメリットについて考えていきました。

欧米に基準を合わせるというわけではありませんが、グローバル社会のことを鑑み、新型コロナウイルスの影響を受けている生徒のことを考えると、9月入学の導入を早急に導入するべきです。

9月入学の生徒は8月卒業になるわけですから、会社企業は9月入社の措置を採ることも考えなければいけません(←会社企業はこの措置を早急に導入することは難しくないでしょう)。

私も大学を前期で卒業しており、卒業後すぐに就職活動ができず、4月の勤務まではアルバイトでつないでいかなければならない状態でした。

日本はこれを機に、これまで以上に他国の制度に目を向けてグローバル社会に適応する必要があるでしょう。

日本のように、当該学年の学力についていけていないのに、グレード(学年)が上がるなんて他国ではほぼやっていません。

エスカレーター式で子どもの学年を上げるのは、子どもにとって悪影響を及ぼしています。

本当に子どもたちのことを思った教育制度を採るのであれば、今の日本は多くの制度を変えなければいけません。

今回の記事を参考に、小中高大の9月入学・始業のメリット・デメリットについて知っていただければ幸いです。

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