1. はじめに
私立学校教員・教師・先生のうち、正規雇用されている先生は「専任教諭」といい、単年契約されている先生は「常勤講師」という職になります。
専任教諭・常勤講師は非常勤講師より仕事の範囲が大きく広がります。
今回は、私立学校教員・教師・先生である専任教諭・常勤講師の仕事内容についてご紹介します。
2. 私立学校教員・教師・先生である専任教諭・常勤講師の仕事内容
私立学校教員・教師・先生である専任教諭・常勤講師の仕事内容について、分野別にみていきましょう。
授業関係
私立学校教員・教師・先生である専任教諭は「私立学校教員・教師・先生・非常勤講師をめざす方!仕事内容を知ろう!」の『3. 私立学校の非常勤講師としての留意点・おさえておくべき点』の「授業関係」でもご紹介したことと同様に、生徒の学力定着を図ることはもちろんのこと、教科指導をもとに生徒を内面から成長させる授業展開を行なう必要があります。
また次年度のカリキュラム作成も専任教諭・常勤講師の仕事の1つです。
それだけでなく各教科では「教科会議」が行なわれ、会議を進行する「教科主任」は専任教諭の役割です。
教科主任は、他の教科との連携を図るために「教科主任会議」に出席します。
また入試問題の作成を行なうのも専任教諭・常勤講師の仕事であることから、非常勤講師より授業関係の幅は多岐に渡っていることがお分かりいただけるでしょう。
校務分掌関係
私立学校の運営は、各分掌(会社企業でいう部署)に分かれて行なわれています。
各学校により分掌の種類や呼び方は異なりますが、おもに教務部、入試広報部、生徒指導部(生活指導部)、総務部、進路指導部、学習推進部などが存在します。
<私立学校の校務分掌の一例> | |
分掌名 | おもな役割 |
教務部 | カリキュラム編成、時間割編成、時間割変更、学内試験実施の統括… |
入試広報部 | 学校訪問、塾訪問、学校説明会、生徒募集、ブース参加にての学校説明… |
生徒指導部 | 生活、校則遵守の促進、クラブ活動の統括… |
総務部 | 学校全体の統括、教育実習関係の統括… |
進路指導部 | 大学、専門学校、短大、就職の支援・サポート… |
学習推進部 | 生徒の成績向上のプラン作成、模試結果分析… |
それぞれの学校で分掌によって役割が異なる場合がありますので、あくまでも一例としてご覧ください。
専任教諭・常勤講師はそれぞれの分掌に就き、部長は専任教諭が担当します。
基本的に1人1つの分掌に就きますが、学校によっては複数の分掌に就くこともあります。
各分掌でそれぞれの役割を果たしますが、各分掌が連携を図りながら学校組織を築き上げるのです。
学年関係
専任教諭・常勤講師はいずれかの学年団やコース団に所属します。
ただし管理職や部長に就いたときは基本的に学年に所属することありませんが、学校によっては部長に就きながら学年に所属する場合があるのです。
専任教諭は学年主任、コース主任に就きます。
常勤講師であっても学級担任(クラス担任)を受けもつ可能性は十分にあります。
文化祭、体育祭、修学旅行、遠足など、学年単位の学校行事にはすべて携わることになるため、当該学年の生徒との距離は近いものになるでしょう。
ここでは以下の2点について補足しておきます。
担任業務は他の教員・教師・先生、保護者との連携が必須
担任業務は、ホームルームをはじめとして、以下のように多岐に渡ります。
生徒の管理
自分のクラスの生徒の状況を最も把握できるのが担任で、生徒だけでなく家庭との連携は担任を中心に図ります。
とくに生徒が問題行動を起こした場合は、担任であるあなたが自分で解決しなければならないと思われがちですが、問題の大きさによっては自分だけで解決しようとせず、学年主任への報告・連絡・相談を欠かさず行ない、保護者との連携を図ってください。
また他の教員・教師・先生に相談することで新たな解決策・対処方法が見つかるでしょう。
私が高校1年生の担任をしていたときは、生徒たちだけで学校行事を完成させたり、ホームルームを進めさせるように、私はその様子を窺うようにしていました。
担任だからといって何もかも率先して行なうのではなく、生徒たちに何でもさせることで自立・自律を図ることができるためです。
私が出張等でホームルームができなくても、生徒たちで活動し、最終的に代行の先生に引継げるまでになったクラスもあります。
教室の管理
教室は生徒たちが1日の大半を過ごす場所であり、教室の環境は生徒の心を左右します。
私は教室環境の大切さを生徒に伝えるために、教室清掃は掃除班で行なうのではなく、私と日直で行なうようにしていました。
掃除班で掃除をさせるのは、連携を図るという意味でも意義は十分にあります。
ただ私と日直で掃除をすると、生徒とのコミュニケーション量が増えるだけでなく、日常会話では聞くことができないクラスの様子や生徒の人間関係について知ることができるのです。
そのような話しをしながら生徒と掃除をすることで、掃除班で掃除をするより細かい部分まで掃除することができていました。
きちんと整列された机、拭き残しのない黒板、チョークの粉がない黒板の溝、ゴミのない新しい袋が設置されたゴミ箱。
きれいな教室環境の中で生活すると、生徒の心も安定するものです。
もし教室が汚れていたり、雑然している場合は、生徒の心が不安定になりますし、生徒が教室環境を悪化させているのは、生徒の心の乱れのSOSのサインが出ているということ。
私は教室1つで生徒の心が読みとれるような気がしていました。
また生徒が下校したあとは、教室内の窓のロックをすべてチェックし教室を施錠していましたので、教室で問題が起きることもありません。
学校の環境によりますが、私が勤務していた学校では、終礼後に担任がすぐに教室を施錠するため、遅い時間に教員・教師・先生が校舎内を見回る日直業務はありませんでした。
いずれなくなる担任制度
学校では各クラスに担任の先生が置かれるのが当たり前です。
生徒によっては、誰が担任になるのかは大きな出来事でしょう。
「もし自分と合わない先生が担任になったらどうしよう…」という不安もぬぐいきれません。
最近では各クラスに担任を置かず、ホームルームは学年の先生が順番に担当するという学校もあり、担任制度はなくなりつつあります。
そうすることで、生徒は「担任の先生」のような特定した先生との関わりではなく、自分に合う先生と関わることができるのです。
そもそも担任業務は、固定された先生でなければできない業務はありません。
また担任制度がなくなると、学年の生徒のことを学年団の先生全員が把握することができ、より教員・教師・先生との連携を図ることができるでしょう。
今後このような学校が増えていくことが予想されますので、将来的に担任制度はなくなるといえるのです。
クラブ活動関係
クラブ顧問は、基本的に専任教諭・常勤講師全員に割り振られます。
自分が専門的に行なってきた分野のクラブ活動があれば、学校にその旨を申し出ることで該当クラブの顧問に就ける可能性は十分にあります。
それとは反対に、自分がまったく携わったことがない分野のクラブ顧問に就く可能性も十分にあるのです。
私も野球部、レスリング部、アメリカンフットボール部、陸上競技部の顧問に就いていました。
どの分野にも携わったことがない種目でしたが、生徒のプラスになることをやろうと思いました。
野球部ではノックが打てるように、空き時間でひたすらノックの練習。
休みの日も練習や試合で、1年間のうちかなり休みは少なかったです。
レスリング部、アメリカンフットボール部については接触プレーでルールも分からない状態でしたし、主顧問の先生が競技指導をしてくれていたため、私は対外試合や合宿などの手配・手続き、経理を行なっていました。
陸上競技部も経験がなかったため、部員たちが自分たちで練習メニューを考えて活動をしていましたので、私は安全に活動が行なわれているかを見守っていました。
ただ陸上競技の対外試合のときに審判をしなければならず、まったくルールが分からない私は、他校の陸上競技部の先生に迷惑ばかりかけていました。
スポーツの強豪校によっては、1年のうち数日しか休みがない状態で活動しているクラブもあります。
最近では、長時間クラブ活動をすることの意義や、短時間で効率よく活動したほうが良い結果が出るという話しを耳にします。
また専任教諭・常勤講師がクラブ指導をするのではなく、外部コーチを雇用してクラブ指導をする形態も増えています。
私のように競技経験がない人間が、見よう見まねでクラブ指導をすると大事故につながる可能性があるでしょう。
そのことを考えると、外部コーチがクラブ指導にあたるのは良いことだと思いますし、外部コーチがクラブ指導をしている間は、専任教諭・常勤講師は他の業務を進めることが可能です。
ただ問題点は、外部コーチがクラブ指導しているときに事故が起きた場合の責任の所在はどこになるのか、外部コーチが学校の生徒の個人情報をどう扱うのか、インターハイなどの公式戦に出場する場合は出場手続きのときに専任教諭の捺印が必要であったり、引率が必要であるため、クラブ活動一切を外部コーチに任せることができない現状があります。
もしクラブ活動一切を外部コーチに任せることができれば、専任教諭・常勤講師の勤務時間縮小につながり、働き方改革が進展するといえるでしょう。
以前に執筆した「休みがない長時間のブラック部活は変えられる?仕事は効率よくやろう!」や「教育現場でのクラブ顧問を拒否する方法とは??」も参考にしてください。
常勤講師の扱い
常勤講師は「私立学校にも働き方改革が必要!学校の勤務形態・実態はどうなの??」にもありますように、専任教諭のように終身雇用ではなく、単年契約の先生のことをいいます。
多くの私立学校は、常勤講師としての雇用は3年までとしており、その後は専任教諭へ登用するか、任期満了で雇用終了となります。
常勤講師は非常勤講師と同様に、安定した立場ではありません。
常勤講師は専任教諭に準じた仕事内容でありながらも、賞与は専任教諭のほうが多いのも一般的です。
3. 私立学校教員・教師・先生である専任教諭になるには?
私立学校教員・教師・先生である専任教諭になる手順については「私立中学高校の教員・教師・先生になるには??」を参考になさってください。
4. まとめ
今回は、私立学校教員・教師・先生である専任教諭・常勤講師の仕事内容についてご紹介しました。
私立学校教員・教師・先生である専任教諭・常勤講師をめざす方は、今回の記事をお読みなることで私立学校での仕事内容がご理解いただけることでしょう。
私は、私立学校教員・教師・先生の仕事は本当にやりがいを感じられるものだと思います。
学校のために働くというよりかは、生徒のために働くことで生徒・保護者からの信頼を得ることができ、自然と学校も大きく成長できるものです。
「自分の子どももこの学校に通わせたい!」と思えるような学校づくりをするのは、生徒と先生です。
そのような学校づくりをするために、職員会議で教職員が一丸となって、上層部の経営陣が理にかなったことを言っていなければどんどんぶつかってほしい。
教職員の意見・考えを取り入れないような古い組織は、今後の存続は難しいでしょう。
学校の存続が難しければ、教職員の首をしめることになるだけでなく、一番の被害者は生徒です。
自分の子どもを通わせたくないというような学校づくり・生徒育成にならないよう願うばかりです。
専任教諭・常勤講師の役割について、気づいた点があれば追記・更新していきます。
今回の記事を参考に、これから教員・教師・先生・専任教諭・常勤講師をめざす方は、ぜひ記事の内容を知っておいてください。
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