将来自分はどう生きる?中学生に人生を考えさせてみた!

志学舎

1. はじめに

学校などの教育現場は生徒に人生を考えさせる場所。

授業を通して、自分の人生を考えさせながら「生きる力」を養っていきます。

今回は中学1年生の地理の授業で家計について考えさせたアクティブラーニング学習の一例をご紹介します。

2. 生徒に自分の将来の家計を考えさせる

最近は毎日の授業で、気が付けば詰め込み式の授業をやっていることはなくなった今日この頃。

教員・教師・先生になりたてのころは、教材に書かれてある知識・教養を自分で予習し、それを生徒たちに分かりやすく詰め込む形の授業をしていたように思います。

ただそれは学校で行なう授業方式ではなく、学校では知識・教養を踏まえて生徒の将来に反映させられる教育を行なわなければいけません。

今は知識・教養を伝えるのはもちろんですが、生徒に自分のことや社会のことを考える時間をたくさんとれるようになりました。

中学1年生の地理の授業でも「家計」について考えさせています。

「地理の授業でなぜ家計??」と思われますが、社会科の地理・歴史・公民の科目は単に科目に分けられているだけで、実はすべてつながりをもっているのです。

ここでは今回の授業のやり取りについてご紹介します。

人口から考えさせる将来の家計

現在の勤務校では、中学1年生に対して中学地理を学ばせるのではなく、高校で扱う地理Bの学習指導を行なっています。

そこでは以下のようなグラフが出てきます。

この図から読み取れるのは、2015年現在で日本の人口が約1.2億人、2060年推計の日本の人口は1億人を切っています。

年齢層では、年少人口・生産年齢人口がさらに減少し続け、老年人口が増加している「超高齢社会」がますます進行することがお分かりいただけるでしょう。

そこで生徒にこの図から読み取れることを自由に発言させます。

生徒「生産年齢人口が減っていくと誰が働いてものをつくるの?」

→他生徒「AIをもったロボットちがう?」

→他生徒「やっぱり人が働く場はAIに奪われていくんかな…」

私「老年人口が増えていくとどんな社会になっていくでしょうか??」

生徒「ものやサービスが生み出されなくなる」

生徒「高齢者にあてる税金が増えそう」

さまざまな意見が出てきましたが、税金の話しが出てきましたので、ここで年金や税金の知識・教養をつけさせました。

労働者になったときは、都道府県税・市町村税を合わせた「住民税」、所得に応じて納める「所得税」、そして国民全員には「国民年金」、勤務労働者は「厚生年金」、公務員・私学関係では「共済年金」に加入する必要があります。

国民年金ついては、20~60歳までの国民が全員加入しなければならず、単純計算で40年間×12ヶ月=480ヶ月間、年金掛け金として毎月16,340円ずつ納付しなければいけません。

総額にすると約780万円にもあります。

しかも年金を受給できるのは65歳ということを生徒に伝えました。

生徒「ん?60歳で定年退職して65歳まで年金がもらえないんやったら、5年間はどう生活するの?」

→他生徒「もしかしてパートとかアルバイトせなあかんの…??」

私「最近では定年年齢を65歳まで引き上げている会社企業も増えていますよ」

生徒「そんな歳まで働かないといけないんですか?!」

私「65歳ならまだしも、13歳のみんなが50~60代になると定年が70歳くらいまで引き上げられているかもしれません」

生徒「働くと住民税や所得税を払い続けることになるんですよね…??何か何のために働いているのか分からなくなりますね…」

こんなやりとりの中、生徒たちは自分の将来の家計についてそれぞれで考えていました。

将来自分はどのように生きるか??

前述のことを考えさせた結果は、多くの生徒の意見は「海外へ移り住む」と言っていました。

生徒がタブレットをもっているのであれば「ではどこの国に移り住むのがいいですか?地図帳をみて世界にある国をピックアップして、各国の税金や保険の制度を調べてみましょう!」と言えるのですが、勤務校はその環境にありません…。

しかし日本を捨てさせるわけにもいきませんので、地理から日本の税制や保険の制度を理解させたうえで、自分たちの将来を試行錯誤させました。

生徒「税金とか保険でお金がなくなるのは分かったんで、たくさん稼げばいいってことですよね?」

私「そうもいかないんです…。日本は所得が多い人ほど所得税が多くかかるんです…」

他生徒「累進課税のことですか?!」

私「そうそう。よく知ってるね!年収1800万円を超えると45%が所得税がかかります」

生徒「45%?!約半分もとられるんですか…。ますます働く意味が分からない」

私「野球選手も年俸5億円って言われても45%は税金で支払っていますからね…」

生徒「…」

このあとも何かいい解決策がないのか、生徒自身で考えていました。

「考える」という行為はすごく大切で、それが生徒にとって良い方向に進むことになるのです。

3. まとめ

今回は中学1年生の地理の授業で家計について考えさせたアクティブラーニング学習の一例をご紹介しました。

人は「考える」ことによって進歩していくものです。

教育現場は生徒に「考える」環境を供給しなければいけません。

考えるくせがついている人は、自分の人生を大きく切り開くでしょう。

これからも生徒にさまざまな視点から物事を考えさせていきたいと思います。

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