1. はじめに
これまで数々の教育現場や会社企業の職場をみてきましたが、そこで気になるのが社長・店長・学校長と社員との距離感です。
職場の雰囲気を大きく左右しているともいえる社長・店長・学校長との距離感。
今回は社長・店長・学校長が社内・店内・学校内で行なうべき活動について考えていきましょう。
2. 社長・店長・学校長は現場統括責任者
中学生・高校生の中には「社長になりたい」という生徒がいますので、「なぜ社長になりたいの?」と聞いてみました。
中学生では「良い生活ができそう」「親が社長だから後を継ぎたい」「かっこいい」という意見が聞かれます。
高校生では「自分で思い描いたものを形にしたい」「自分がリーダーになりたい」という意見が効かれるものです。
これが社会人になり、とくに就職した方は、社長・店長・学校長になれる機会があったとしても、とくになりたいとは思わないという方もいます。
なぜなら、社長・店長・学校長は組織の「長」であり、現場を指揮監督しなければいけません。
その一方で、現場で問題が発生したときに社員とともに問題解決を図るだけでなく、問題が発生した責任を追うのが社長・店長・学校長の役割です。
社長・店長・学校長が責任を取るときに「引責辞任」は最終的な責任の取り方で、まずは問題解決に徹底するべきでしょうし、すぐに引責辞任するのはその場から逃げたいだけで全然責任なんて取れてません。
また今の時代、社長・店長・学校長だからといって、昔のように「自分が長だから上」というような厳しい縦割りを敷いていては社員はついてこないのです。
私も組織の長につく機会がありましたが、長につく経験をしていくと自分のことを見直したり、組織全体に視野を広げる意識をするようになりました。
生徒会長の経験
生徒会は、生徒の意見を集約して学校の行事・活動に反映させるための組織です。
今振り返ると、生徒会長を務めていたときの自分は「自分が生徒会をまとめなければ」「自分が生徒をまとめなければ」「自分が学校をまとめなければ」という気持ちばかりが先走っていたような気がします。
そのため生徒会役員同士でもしばしばぶつかり合いがありました。
当時は「組織内でぶつかり合いが起きるなんて最悪だ」と思っていましたが、今となっては「ぶつかり合い=意見の主張・交換」ですので、とくに悪いとは思いません。
ただお互い感情を含めて議論を続けると何も生まれないという認識をもつようになりました。
生徒会長を務めたからこそ、このような経験ができたと自負しております。
学習塾での講師育成リーダー
学生のころは数年間、学習塾で講師育成リーダーを務めていました。
ただ講師育成リーダーという肩書きがあっても、具体的にどのような活動をするのかはすべて自分でプロジェクトを思案し、学長に相談・報告するスタイルでした。
思案したプロジェクトは「教科指導方法」「社会人になってからの良識マナーを身につける」「講師間の意見共有」など、さまざまなことを実行しました。
その塾はネームタグに自分の名前だけでなく、自分の肩書まで書かれていたので、誰がどのような立場なのかがネームタグを見れば分かるのです。
ただ自分にとっては肩書きまで載せるのは好ましく思っておらず…。
自分の立場が明らかになると、新しく入ってきた講師に一線を引かれるのは嫌でした。
さきほどのプロジェクトの実行よりも意識したのは、他の講師と一緒に仲良く働くことです。
組織は立場的に上の人が運営しているのではない、社員が活動するから運営が成り立っています。
他の講師と仕事したり、遊んだりして、接する機会をできるだけ多く設けるようにしました。
講師間の雰囲気が良いと生徒の雰囲気がよくなり、相乗効果で学習塾全体の雰囲気がよくなります。
学習塾の雰囲気の良さを一番察知しているのは生徒であり、学習塾の雰囲気の良さは生徒の友達・保護者、そして地域に広がっていくことから、集客効果にもつながっていました。
自分が肩書きを与えられる立場になってみた感想
私は職場の環境に合わせて、上下関係が厳しいところ・そうでないところに合わせる必要がありますし、目上の方には目上の方への接し方があると思います。
それに対して肩書きのある方は、昔のように「自分が上」というようなスタイルでは、社員があなたについてくるとは思いません。
リーダーシップを発揮するのは構いませんが、特定の人物が強い権力をもつようなワンマン経営を行なった結果、社員が離れていき、経営に行き詰った会社企業もたくさんあります。
リーダーシップ=権力を行使するという方程式は成り立ちません。
社長・店長・学校長と構成員がともに協力し合って運営される組織が望ましいのではないでしょうか。
3. 社長・店長・学校長は現場にうもれましょう
社長・店長・学校長が一番やってはいけないことが、自室に閉じこもって仕事をするということです。
社長・店長・学校長の自室に誰も近づきたいとは思いません。
社長・店長・学校長であっても、社員と同じ部屋で仕事するのが望ましいです。
「そんなことをしたら、かえって社員が気を遣うのでは?」と思われますが、それは社長・店長・学校長がいかに社員から信頼されるのかにかかっているでしょう。
社員とともに仕事することで、現場で何が行なっているかが鮮明になります。
教育現場でもよく見られる光景ですが、上層部の方は実績や数字だけをみて「ここをこうしないといけない、そのためにはこの方法をとるべきだ!」なんてことを言います。
上層部の方ほどよく理解されていると思うのですが、現場ではそのような敷かれたレールに沿った、マニュアルに沿うような方法では解決できないことがほとんどです。
そういった意見を出された方ほど、現場を見ていない方が多いのも事実です。
現場をご覧になっている社長・店長・学校長もいらっしゃいますが、1度現場を見ただけでそれを「現場をみた」とは言えません。
現場は毎日状況が変わるものですので、上層部の方ほど多忙であることは察しますが、生きた現場を見なければ組織の運営・経営は難しいですし、運営・経営の新たな方針を生み出すこともできませんし、最終的には思うように集客・生徒募集することができず、結局経営難になってしまいます。
集客でお困りの組織の多くは、組織そのものの体制から見直さなければならないでしょう。
社長・店長・学校長のような上層部の方ほど、毎日現場にうもれてください。
4. まとめ
今回は社長・店長・学校長が社内・店内・学校内で行なうべき活動について考えていきました。
社長・店長・学校長がワンマン運営している組織ほど、上層部に意見を伝えることができず、集客や生徒募集に影響を与え、それを上層部が社員に責任を追及するような悪循環が起きている組織は今後続きません。
私は実際にそのような教育現場をみてきましたし、職員室の雰囲気で「この学校は今後伸びるか伸びないか」がおおよそ見えるときがあるほどです。
運営が軌道に乗っている会社企業・店舗・教育現場は、上層部と社員の距離が近く、お互い意見交換・共有できていること。
そこから社内・店内・学校内の雰囲気の良さが組織内に伝わり、それがお客様・生徒に伝わることで集客・生徒募集にもつながるのです。
あなたが属している組織はどんな雰囲気で、どんな体制ですか?
今回の記事を参考に、あなたが属している組織を見つめてみてはいかがでしょうか。
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