1. はじめに
社会科の授業で扱う「産業の空洞化」。
産業の空洞化がすすむと、日本国内での仕事がどんどんなくなるわけですが、未来を生きる生徒たちの時代にはどんな仕事があるのでしょうか。
今回は、人の仕事は将来的にどうなるのかについて考えましょう。
2. 将来的に人の仕事はなくなるのか??
冒頭でご紹介した「産業の空洞化」とは、日本国内にある会社・工場が海外へ進出し、海外の現地生産が主となるため、日本国内での産業活動が減少・衰退することをいいます。
例えば、1990年代に日本はアメリカに対して自動車を大量に輸出しましたが、アメリカの製品をあまり購入しなかったことから「貿易摩擦」が起こりました。
貿易摩擦を解消するために、日本の自動車メーカーはアメリカへ進出し、車をアメリカ現地で生産することで、アメリカは日本から車を輸入する必要がなくなります。
またアメリカへ進出した自動車メーカーで働くのは現地のアメリカ人ですので、アメリカ国内の就業率も高くなるのです。
つまりこれまで日本国内で製造されていた車は、アメリカ現地で生産されることになったため、日本国内で製造される自動車の台数は激減し、日本での自動車産業が弱まります。
このような産業の空洞化は自動車業界だけでみられるのではなく、他の業界でもみられますので、たくさんの日本企業が海外へ進出しているのです。
外国向けの製品が日本で作られなくなる分、日本での仕事が減ってしまいます。
効率化が求められる世の中
多くの仕事が求められる「効率化」。
効率よく仕事をこなしていくために、人は機械を駆使します。
機械を使うことで効率よく、大量に仕事をこなすことができるのです。
世の中のさまざまなところでオートメーション化が進んでおり、仕事は機械がこなして、人はそれを操作・監視しているのみ。
先ほどの産業の空洞化に加えて、オートメーション化がすすむことで人の仕事が少なくなっていくのです。
最近ではスーパーでセルフレジが増え、ガソリンスタンドではセルフスタンドが増えています。
アパレルメーカーのGUでも無人レジが増えているのです。
そのうち店内は監視カメラで守られるようになり、商品の補充も機械で行なわれそうな勢いです。
もしスタッフに尋ねたいことがあったとしても、インターフォンで最低限待機しているスタッフを呼びだすか、ソフトバンクのペッパーのようにロボットが接客するかもしれません。
第三者との接点がなくなる恐怖
前述のように、すべてがオートメーション化される時代は、そう遠くないかもしれません。
そうなると、社会で第三者との接点がなくなってしまうのです。
人は第三者と接することで成長しますし、第三者と接することで感情を出し合うことができます。
人は人によって育てられるのです。
私が恐れているのは、教育現場までオートメーション化が進んでこないかということです。
授業は衛星授業で行なわれたり、テレビCMでもみられるように、遠く離れたところのクラスが画面を通じて1つとなり、お互い学び合うようなICT技術が普及することは実現に向かっています。
人は画面越しに接することで成長することは不可能で、生身の人間と面と向かって、接し合って、触れ合ってこそ教育が成り立つのです。
画面越しや機械を通じた教育が行なわれるとなると、人が人でなくなるような気がしてなりません。
オートメーション化はどの分野にも導入されることが予想されますが、導入にはある程度の線引きになるでしょう。
3. 仕事は自分で作り出すもの!
先ほどお伝えしたように、オートメーション化がすすむにつれて、人の働く機械がどんどん少なくなります。
このままでは現存の職種で残されるのは、技術・開発系の仕事だけかもしれません。
しかし人として、機械にすべての仕事を奪われてはいけないのです。
人にしかできない仕事はたくさんありますし、今後は人にしかできない仕事を作り出す必要があるでしょう。
例えば、最近では機械が大量生産したものより、数量は限定になりますが、人が手作りをした商品・サービスが売れるというケースも多々あります。
学校で配布されるのような「職業ハンドブック」などに掲載されている現存の仕事は、どんどんなくなっていく可能性がありますので、今後どのような商品・サービスが求められるかを考えられるような幅広い視野をもつことが求められるのです。
4. まとめ
今回は、人の仕事は将来的にどうなるのかについて考えました。
今あなたが携わっている仕事は、将来的に機械が行なうようになり、人の職業ではなくなっている可能性が高いです。
「そんな時代くるわけない」と思わっている方がいらっしゃいますが、そんな考えられないことがこれまでに起きていることを確認してください。
昔の人はネットのような便利なものが普及するなんて、誰しもが考えませんでしたし、ネットを考えた人は当初、周囲の人から「そんなことが実現できるわけがない」と批判されていました。
でも今の時代、ネットがなければどの仕事も成り立たないほどになっています。
機械に仕事が奪われる中、人でなければできない仕事はたくさんありますし、人しかできない仕事を自分で作り上げていく必要がある時代にきているのです。
生徒たちが力強く未来を渡っていくために、教育現場の方は幅広い見解をもつ必要があります。
今回の記事を参考に、今後の仕事や職業について考えてみてはいかがでしょうか。
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