欧米の起業率は日本の2倍?!就職だけがすべての道ではない!

志学舎

1. はじめに

高校生・大学生ともなると、将来の目標を明確にしている生徒が多いですが、ほとんどの生徒はどこかの会社に就職することを目標にしています。

日本の場合、生徒の中に「起業する」という人はほとんどみられません。

今回は欧米や日本の起業について考えます。

2. 日本の生徒のゴールは「大学」「就職」

高校生や大学生に「将来の目標は何ですか?」と尋ねると、「○○大学へ進学したい」「○○会社に就職したい」「○○になりたい」と答える人が多いです。

どの答えも自分の将来を見据えていていいのですが、大切なのは、なぜ大学へ進学したいのか、なぜその会社に就職したいのかを明確に考えさせること。

目標が明確であるほど、目標に向かって人は進み続けることができるのです。

教育現場で行なわれる「教育」の目的とは??

勤務校の大学合格者をみると、いわゆる偏差値の高い大学へ合格している生徒がたくさんいます。

合格するまでに、かなりの努力をしていたに違いありません。

教育現場も、生徒を合格させるために授業を行ない続けているのです。

ただ今の教育現場はもう少し視野を広く持たなければいけなくて、生徒を大学に合格させることをゴールとするのではなく、社会で活躍できる人材育成するというところまで視野を広げる必要があります。

偏差値が高い人=社会で活躍する、仕事で成功するといった方程式は成り立ちません。

社会で活躍するためには「偏差値」をあげる教育をするより「経験値」をあげる教育を行なう必要があるのです。

本来学校は、基礎学力を身につけ、人間教育を行なうところであり、受験指導に全力を注いで高い大学合格率をたたき出すところではありません。

それが当たり前になっている今、教育現場のゴールが「大学進学」としているところが多いのです。

教育現場の職員会議でも「今年度の目標は国公立大学合格者を○○○人にすることです」という話しを耳にしました。

そのために教師一丸となって教科指導に全力を注いで…、生徒を志望校に合格させて…、これは本当の人間教育ではなく、塾や予備校がやっていることです。

なぜ学校で働いている教員・教師は、その職に就いたのでしょうか??

生徒を志望校に合格させるためなのでしょうか??

それが教員・教師になった理由であれば、塾や予備校の講師になるべきです。

私は長年、塾講師をやっていましたが、生徒を志望校に合格させることが自分のやりたい教育ではないと思い、学校の教員・教師になりました。

教育現場としての、本来の目的を見直しするべきでしょう。

教育現場で昔ながらのレールを敷いてはいけない

日本では、高校→大学→就職という進路を基本として、教育現場で進路指導が行なわれています。

教員・教師は「就職するためには大学へ行きなさい」という指導を生徒にします。

生徒が将来の目標が明確でなくても「とにかく大学へ行きなさい」と言うのです。

学校方針に合わせてそのような指導をしているのかもしれませんが、大学こそ何の目的もなく進学するところではないですし、仮に生徒が明確な将来の目標をもっている場合、その目標を達成する手段は大学進学しかないのでしょうか??

例えばパイロットになりたい場合、「大学進学→航空会社就職→パイロット養成を受ける→パイロット」という進路もあれば「高校卒業→短大または大学または自衛隊→航空大学校→航空会社就職」という進路もあります。

生徒が「○○に就職したい」と明確に決めている場合、その会社の採用条件として「4年制大学を卒業していること」とあれば、大学進学を促さなければいけませんが、そうでない限り、教員・教師側が大学進学をすすめる理由を明確にするべきなのです。

「大卒と高卒では給料やボーナスの金額が違うから」という理由をつけるのであれば、教員・教師は、その会社の給料・ボーナスについて知っているのですか?調べたのですか??

「大卒と高卒では昇進にも関係してくるから」という理由をつけるのであれば、教員・教師は、その会社の昇進について知っているのですか?調べたのですか??

「一般的にそうだから」という理由では禁物です。

「一般的」は、時間とともに変化していますし、今の実力社会では学歴に関係なく、仕事の能力に応じて給料やボーナスを決めているところが多くなっています。

昇進についても、実力がある者が昇進の対象で、学歴は関係ありません。

また高校・大学卒業後の進路は、就職だけでなく「社長になりたい」など、起業を目指している生徒も少なからず存在するでしょう。

昔ながらの敷かれたレールに沿った進路に導くことは、今の時代に合った指導ではないのです。

3. 欧米の起業率は日本の約2倍

生徒の多くは、昔の古い日本のスタイルを周囲の大人たちに刷り込まれているため、大学に行って就職する進路をたどろうとする人が多いです。

その生徒は、大卒で就職すれば一生安泰、とくに公務員であればリストラもなくボーナスも良いと勘違いしています。

今の時代、公務員のリストラが見受けられるようになっていますし、大卒で就職すれば一生安泰なんて何十年前のことを言っているのですか。

会社企業はいつ・どこが倒産してもおかしくないですし、いつリストラしてくるか分かりません。

会社企業の経営が悪化すれば、正社員であっても平気でリストラする時代です。

もちろん会社企業は人的保障などしてくれませんので、倒産・リストラ後の収入は、失業保険に頼ることになります。

だから私は生徒に「正社員で就職しても、自分ができる複業をするべき」と伝えるのです。

生徒の周りの大人たちが、今の社会情勢を知っておかなければ、生徒は古い昔の情報を鵜呑みにして、将来不利益を被る可能性があります。

本当に就職するのが安泰なのかを、教育現場は伝える必要があるでしょう。

就職ではなく「起業」という道がある

日本で起業の話しをすると、以下のような反応がみられます。

●就職のように安定した給料が得られない

●成功しなければ全く収入が得られない

●軌道に乗せるまでに時間がかかるし、軌道に乗る保障がない

日本で起業というと、あまりいいイメージがもたれていません。

しかし街なかにいる会社企業は、誰かが起業したものですので、意外に起業している割合は多いのです。

ただ日本の起業率(開業率)は4.6%なのに対して、アメリカで9.3%、イギリスで11.4%、フランスで15.3%となっています(いずれも2012年)。

とくに起業率が高いフランスでは、資本金ゼロ、売上が0だったときの税金を免除、税優遇措置をとっており、起業しやすい環境が整備されているのです。

会社企業で自分のやりたいことを実現するためには、他の社員や経営陣を説得させる必要がありますが、起業すれば自分が思い描いたものを、そのまま実行に移すことができます。

もちろん失敗することもあるでしょうし、軌道に乗らないこともあるでしょうけど、それは勤め人にだったとしても、倒産やリストラを受けるのと同じです。

自分のやりたいことを形にできるのは、起業することが最先端でしょう。

とはいっても、教員・教師は、起業したことがない人ばかりですので、起業したいという生徒にも対応できるように、起業についても学んでおく必要がありますし、可能であれば起業してみるのもいいのではないでしょうか(公務員の教員・教師は起業してはいけません)。

生徒に就職だけでなく、起業という選択肢を広げられるような教育ができることで、社会情勢を知っておくことの大切さを認識できるはずです。

4. まとめ

今回は欧米や日本の起業について考えました。

欧米では、自分のやりたいことを形するために、就職の道を選ぶのではなく、起業の道を選ぶ人の割合が多いことがお分かりいただけたでしょうか。

生徒の考えている進路を尊重するのは、周囲の大人がやらなければいけないことです。

ただ就職だけでがすべての道ではないと伝えること、もし起業したいという生徒が存在した場合に応対できるようにするのも、今後の教員・教師の課題となるでしょう。

教員・教師は、敷かれたレールに生徒を導くのではなく、幅広い視野をもった生徒に育成することが、本来の教育現場の役割です。

偏差値の高い大学に固執した教育が、本当に生徒のためになっているのか、深く考えてみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました