1. はじめに
学校では、授業を受けながらノート書いたり、配布されたプリントを使って空欄を埋めたりします。
ただ学習で大切なのか「暗記すること」ではなく「考えること」です。
今回は、暗記学習を思考力学習へ転換した授業の一例をご紹介します。
2. 暗記学習から思考力学習へ
これまで自分の授業を含め、さまざまな授業を見てきて思うことは、生徒に暗記学習させている授業が圧倒的に多いということです。
ほとんどの学校で大学合格率を意識しているため、教員・教師は生徒を大学に合格させようと、知識・教養を詰め込む授業を展開しています。
多くの教員・教師が行なっていることは、生徒に学習内容が伝わるように「分かりやすく教える」ことです。
私は、1つでも知識・教養が多く有しているに越したことはありませんし、知識・教養が多い分、アイデアの数も豊富になることは理解しています。
しかしいくら知識・教養を詰め込んで、大学に合格しても、得た知識・教養を発展させられなければ意味がない。
生徒の学習意欲を高める方法!試験範囲が決まった定期試験はいらない!でもご紹介したように、生徒は定期試験が終わった瞬間に、得た知識・教養のほとんどが頭の中から消えています。
ものを覚えさせることも大切ですが、教員・教師がそれに執着した授業展開をしてはいけません。
分かりやすく教える・大学合格率を上げるのは、予備校でも同じことをやっています。
学校の教員・教師は、それに執着してはいけないのです。
教員・教師は、教材「を」教えてはいけなくて、教材「で」教える必要があります。
つまり教材の太字を教えるような教育ではなく、そこから何が考えられるのかを示さなければいけないのです。
それが「暗記学習」ではなく「思考力学習」です。
3. 学校の授業を変化させる
私も限られた学習環境の中で授業を行なっています。
本当は生徒1人ずつがタブレットをもっていて、双方向の授業を確立させるICT授業を行ないたいのですが、勤務校の学習環境上、それは不可能です。
ただ各教室にプロジェクターは設置されていますので、今のところはそれを使って授業しています。
暗記学習の教材から思考力学習の教材へ転換
私は社会科を担当していますが、どうしても「社会科=暗記科目」というイメージをもたれてしまいます。
ほとんど学校の社会科の定期試験のスタイルは、暗記した語句を埋める空欄補充形式のものが多いです。
そのため、これまで使用していた中学1年生「地理」のパワーポイント教材は、以下のように空欄補充を中心としたページが多かったです。
しかし今では、下のように図・表・統計資料を載せてあるだけのページを増やしました。
これらから何が読み取れるのかを考えさせるのです。
図・表・統計資料を読み取るためには、社会情勢を把握しておかなければいけません。
例えば「ブラジルの大豆・コーヒー豆の生産量推移」のグラフでは、年々大豆の生産量が増えていますが、なぜ大豆の生産量が増えているのでしょうか。
中国の輸入増に加えて、バイオディーゼルに利用される量が増えたからですが、そこからバイオディーゼルやエネルギー問題に発展させて考えていきます。
「日本のさけ・ます類の輸入先」は、日本のさけ・ますの輸入先の中心はチリですが、もともとチリにはさけ・ますは存在しません。
では、なぜさけ・ますが日本に輸出されるほど、生産量が増えたのかを考えさせます。
このように暗記に執着させるのではなく、社会情勢を理解させたり、現代の課題の解決策を模索することが、社会で本当に必要な力なのです。
社会情勢を知ることで将来社会貢献できる
社会人がやらなければならないこと。
それは「未来を見据えること」「社会情勢を知ること」です。
会社企業は、今必要とされる製品をつくっていては、大きな業績の伸びは期待できません。
未来を見据えて何が売れるのかを考え、それを最初に開発した会社企業が注目を浴び、その会社企業の商品が購入されるのです。
教育現場こそ、未来を生きる生徒の人生を預かるわけで、未来を見据えながら教育を行なうのは当然のことです。
先ほど、暗記学習より思考力学習というお話しをしましたが、教員・教師が大学受験をゴールにしているような教育を行なうべきではありません。
大学はあくまでも通過点です。
大学受験に成功すれば人生の成功ではありませんし、大学受験に失敗すれば人生の失敗ではありません。
人生が「成功」「失敗」したかは、死ぬ直前にしか分からないのです。
人が受験よりもやらないといけないのは「社会を知ること」。
社会を知ることは、常に行なうようにしてほしいものです。
4. まとめ
今回は、暗記学習を思考力学習へ転換した授業の一例をご紹介しました。
従来の重要語句を暗記するような授業は、受験のためには役立つかもしれませんが、未来を生きる生徒にとっては大きな意味をなしません。
学校の授業だからこそ、予備校でやっているような受験に合格させるようなスタイルに専念するのではなく、思考力を育成できる授業を展開する必要があるのです。
「そんなこと言っても、人生の途中に大学受験があるんだから、大学受験を視野に入れるのは当然だろ」と思われるかもしれませんが、それはあまりにも視野が狭すぎますし、生徒の目の前の人生しかみえていないでしょう。
授業だけでなく、学校行事を通じながらでも、社会で必要な力を育成できるはず。
教員・教師が時代においていかれないように、未来を見据えて、授業も学校行事も考えていきましょう。
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