起立性調節障害って何?自分のペースで無理せず進んでいこう!

りんぐフリースクール
Elementary school students put his head out the window

みなさんは「起立性調節障害」という言葉を聞いたことがありますか?

日本小児科学会が実施したアンケートでは、小児患者数は軽症例を含めると中高学生の約10%といわれており、各学年に約12万人(中高生合計で約70万人)と推定されているそうです。

起立性調節障害とは、どのような症状があるのか、筆者が関わった起立性調節障害の生徒の話しをお伝えしていきます。

起立性調節障害とは

起立性調節障害とは、自律神経の働きが乱れることによって、朝なかなか起きられなかったり、立ち上がったときにふらついたりといった体の不調が起きる病気の一つです。

思春期の子どもたちに多く見られ、見た目にはわかりにくいため、時に周囲から「怠けている」「サボっている」と誤解されてしまうことがあります。

不登校の子どもたちだけでなく、日々登校している生徒の中にも、この起立性調節障害と向き合いながら頑張っている子がいます。

この障害を抱える子どもたちは、特に朝の時間帯に体が思うように動かず、起き上がることがとてもつらくなってしまいます。

そのため、どうしても登校が遅れてしまったり、遅刻が続いてしまうこともあります。

けれど、それは決して「やる気がないから」や「甘えているから」ではありません

心と体のバランスが崩れてしまっている状態なのです。

大人がそのことを正しく理解し、寄り添う姿勢を持つことが何よりも大切だと私は感じています。

医師の診察と適切な対応を

起立性調節障害は、医師による正しい診断と適切な治療によって、少しずつ改善していくことが可能です。

もし、お子さんやご自身が「朝、なかなか起きられない」「立ち上がるとクラクラする」「学校に行きたいのに体がついてこない」といった症状に悩まされているのであれば、まずは専門の医療機関を受診してみてください

焦らず、自分のペースで、一歩ずつ。

その歩みに、どうか温かい目を向けていただけたらと思います。

実際に筆者が関わったある生徒の話

以前、私が関わった中学3年生の生徒に、起立性調節障害と診断された子がいました。

毎朝、体が思うように動かず、遅刻が多くなってしまうこともありました。

ある先生からは「授業のときは遅刻ばかりなのに、休みの日のサッカーの試合には遅れずに来ている」と言われたことがあり、その言葉を聞いたとき、私は少し胸が苦しくなりました。

起立性調節障害のことを知らなければ、「サボっている」と見えてしまうのかもしれません。

でも、実際には、本人がどれだけ頑張っていても、体がうまくついていかないことがあるのです。

その生徒が卒業式の日に、お母さんへの感謝の言葉として「お母さん、毎朝起こしてくれてありがとう」と話したとき、私は思わず涙がこぼれました。😭

「中学生にもなって、親に起こしてもらうの?」と思う方もいるかもしれません。

でも、私はその言葉に、支えてくれるお母さんへの深い感謝と、自分の体調と向き合いながら毎日登校しようとする本人の努力を感じたのです。

そして、彼のその後…

先日、その生徒に久しぶりに再会しました。

今は高校生になり、アメリカンフットボール部で日々練習に励んでいるとのこと。

「最近、体の調子はどう?朝、起きられてる?」と聞くと、彼はにっこり笑いながら、「高校に入ってから、ほんとに調子が良くて、この5ヶ月間、ほとんど遅刻してないんです!」と教えてくれました☺️

「いや〜、本当に良かったね!」と私が伝えると、「ありがとうございます!」と元気よく返事をして、颯爽とグラウンドへ向かっていきました🏃‍♂️‍➡️

その後ろ姿が、本当にキラキラして見えました✨

改善のスピードは人それぞれ

これまで、私は多くの起立性調節障害を抱える生徒と関わってきました。

そして、今も現在進行形で、その症状に悩みながらも懸命に日々を過ごしている子どもたちがいます。

中には、思春期を過ぎて心と体のバランスが整うにつれて、大きく改善する子もいれば、少しずつ時間をかけてゆっくりと回復していく子もいます。

改善のスピードには個人差があります。

「すぐに治したい」と焦る気持ちもきっとあると思います。

でも、どうかその思いを責めず、自分のペースで向き合っていってください。

さいごに

私はフリースクールでも、多くの起立性調節障害に悩まされている子どもたちと接してきました。

起立性調節障害は、決して「気持ちの問題」ではありません。

体の不調が引き起こすものであり、医学的なケアが必要な病気です。

当事者の子どもたちは、見えないつらさと毎日向き合いながら、それでも前向きに頑張ろうとしています。

私も、教育現場の一人として、これからも学校の先生方や周囲の大人に対して、少しでも理解を深めてもらえるような発信を続けていきたいと思います。

そして何より、今まさに悩んでいる子どもたち、その保護者の皆さまへ。

「あなたは一人ではありません」

支えてくれる人も、理解しようとしてくれる人も、必ずいます。

どうか、一歩ずつ、自分のペースで進んでいってください。

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